はらぺこおっち丸の日記

仕事をやめてひと休み中な私と、同居人まっちゃんの、ささやかな日常。

森絵都『風に舞いあがるビニールシート』の感想

題名が気になって購入。

森絵都さんは『カラフル』が有名ですよね(^^)
『カラフル』は2010年に映画化されてます。
森絵都さんだと、私は『つきのふね』という作品が好きです。
『カラフル』同様、心温まる系の作品です。

でも、その2つくらいしか読んだことがなかったんですよね。

私にとって久しぶりの、森絵都さんの本。


風に舞いあがるビニールシート』は、それを表題作とした短編集です。

その題名を見た時、
どんなお話なのかな?ピクニックかな?
と、安直に想像しましたが、全然違いました(^_^;)

背表紙の説明文を引用します(^^)
才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり……。自分だけの価値観を守り、お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。
風に舞いあがるビニールシート』は、ピクニックの話ではなく、難民を支援する国連機関で働く女性の話でした。

ビニールシートは、難民キャンプで軽々と吹き飛ばされていく人の命、尊厳、ささやかな幸福を、主人公の夫が例えたものでした。

もみくしゃになって飛ばされていくところを、手を差し伸べて引き留めようとする、主人公里佳の夫で国連職員のエド。

一年のほとんどを現場で過ごすエドに対して、現場に出たことがなく、東京の事務所で一般職員として働く里佳。

その2人のすれ違い、離婚、そしてエドの死…。

里佳は苦しみながらも、エドの死や「ビニールシート」と向き合い、未来に向かおうとします。

この物語以外の5つの短編作品のなかでも、主人公が何かに迷ったり苦しんだりしながら、自分にとって大切ななにかのために、一生懸命生きています。

森絵都さんの『カラフル』や『つきのふね』は、中高生が読んでも、大人が読んでも楽しめる作品だと思いますが、風に舞いあがるビニールシート』は大人向けの作品だと感じました。

特に、私のようになんとなく大人になってしまった人が読むと、もやもやと考え込んでしまうと思います!

人生を生きていく上で、失敗、後悔、恥、自分の醜い部分、ずるい部分を感じてしまうこと…いろいろありますよね!!

私もそんなことを繰り返しながらなんとなく生きてきて、いつのまにか大人になっていました!

働いていた時は、世のため人のために働きたい、と思っていて、でも後半は気持ちも体力もいっぱいいっぱいで毎日がただ過ぎていきました。

働きながら、この仕事を一生繰り返して生きていくのだろうか?と、不安になったこともありました。
でも、やりがいを感じることも多くあり、続けられてれば、もっと人のためになにかできたのでは?と、今もたまにもやもやすることもあります!
体調面でどうしようもなくて辞めてしまったので、結局できなかった、ということですが(>_<)

もやもや。

仕事を辞めたあとは、身の回りのことをゆっくりしながら、家族と楽しく過ごしています。

今のこんな生活もいいなあって思います。

でも、自分の価値観って、大切なものって、なんだろう??と、考えると答えに窮してしまいます(´・_・`)
もちろん、家族は大事。でも、それ以外は?

もやもや。

そして、この作品で主人公たちが自分の価値観で懸命に生きているのを見ると、魅力的だなあ、と感じてしまいます。

風に舞いあがるビニールシート』は、無職の私が、自分の身の振り方を思いっきり考えさせられる作品でした。

でも、作中の『鐘の音』(仏像の修復師のお話!)でもそんなことが書かれているのですが、
自分の価値観どおりに突き進むゴーイングマイウェイな人生も、家族とともに何気なく幸せに過ごす人生も、どちらが良いかなんてわからないですよね。

森絵都さん、他にも読んでみようっと。


ちなみに…

この本の装丁はこんな感じなんです。(文庫本)
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普通、

風に舞いあがる
ビニールシート

って区切ると思うんですけど、

風に舞い
あがる
ビニール
シート

ってなっていますよね。

もし私がそう区切って元職場の人に見せたら、
「区切るところおかしいよ!」
と、ボコボコに突っ込まれそうな気がしてしまうのですが、それは私の素人の考え方なんでしょうね。

区切りを多くして、縦の長さを短くすることによって、空にポツンと題名が置かれてる感じがします。
字の大きさが小さめなところがなんとなく控えめで、でも明朝体で控えめながらも強い意思が感じられる印象。な気がする。

創英角ポップ体とかでドーンと題名が書かれていたら、全く違う印象になってしまうのでしょう(^_^;)

最近は本屋で本にカバーをしてもらわなくなったためか、装丁もじっくり見るようになりました。
デザインする人のこだわりがつまっているんだろうなあ。